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KiVoぴっくあっぷ (2010年12月)
    ☆「KiVo(きーぼ)」とは☆
       指定管理者として「北区NPO・ボランティアぷらざ」を運営している「NPO法人東京都北区市民活動推進機構」の愛称です

  今月は、北区で活躍されている「赤羽自然観察公園どんぐりクラブ」世話人 石渡春樹さんに、団体紹介をしていただきます。

赤羽自然観察公園どんぐりクラブ

A 都会の中で森林体験
  都会の真ん中に5ヘクタール以上もの自然地が出現しました。遠くの山まで何時間もかけて行く必要は無く、家から自転車に乗って10分ほどで行ける所に里があり山があります。そんな赤羽自然観察公園が開園して11年が過ぎようとしています。全くの造成地からスタートし、現在では植物が生い茂り、まだ若樹ですが、夏期などは森らしい公園になってきました。毎週末は500人を超える来園者で賑わいを見せるようになりました。しかも、さまざまな世代の方を拝見します。
  赤羽自然観察公園の心地良さは何からくるのでしょうか?それは従来の都市公園のようにコンクリートで周囲を固めて、花壇を作り、季節ごとに珍しい植物を移植して人集めをし、整備しやすく安全だという公園作りの常識をやめ、地形を生かした自然地作りと、地域の生物の遺伝子を後の世代に残すため、在来生物の多様性を保つという目標をコンセプトにしているからなのだと思います。多様な生き物のつながりが環境にあることで、たくさんの微細な刺激を体感して、バランスを失いがちな精神の健康を取り戻せるような気がします。来園したある人が言っていた一言「ああ、懐かしいにおいがする。」と、この言葉がこの公園の魅力を見事に語っています。秋の夕日に輝くススキの穂や、樹に絡みついて紅葉したキヅタの可愛らしさなどの風光はもちろん、そこかしこから聞こえる虫の音や鳥のさえずり、バックに聞こえる小川のせせらぎ、そうして、そよぐ風に乗ってさまざまな草木の匂いがするのです。

B 森林作業はストレス解消yasoutenpura
sobabatake 一度人の手を入れてしまった自然が、生物の多様性を取り戻し、地域ならではの本来の自然にもどるには、長い年月放っておけば極相林(きょくそうりん)として落ち着くのかもしれません。しかし、公園としてスタートした以上、ある程度の整備をして来園者を迎えなければならないのです。継続して観察すると、年々の自然のあり方は驚くほど変化に富んでいます。私たち赤羽自然観察公園どんぐりクラブの仕事はこの変化をなるべく緩やかにし、極端な増殖や枯死をコントロールしていくことにあります。都市の中で虫が大発生したら、種子が大量に風に乗って散布されたら、自然のあり方としては面白いのですが、たくさんの方々のクレームで方向転換を余儀なくされるでしょう。konchu一種類だけの植物で覆い尽くされたら多様性のバランスを失ってしまい、sobauchi二度と取り戻せないものもあります。どうすれば良いのかはこの地域の特性によって対応を決めていかなければならず、一つの方法論で済むという教科書はありません。昔風や田舎でのやり方が必ずしも良い訳でもありません。
 開園前に市民が記念植樹して始まった「どんぐりの森」は1ヘクタールもありませんが、この面積を維持管理していくことだけでも大変な作業です。仕事としては日常のパソコン相手が多い都会生活とは全くかけ離れた作業です。鎌を持ち、ノコやナタを使い、スコップで穴を掘り、小刀で木工を楽しみ、青空の下で食べ物を原料から作って食します。kanbatsu図鑑を持っての調査もあれば、講師の話を拝聴したり、他の地域に出向くこともあります。平日の仕事の憂さを全く忘れてしまうほど忙しいし、何より作業で気持ちよい汗をかきます。仕事では知り得ないさまざまな職種の仲間との作業後に達成感を共有できるのも魅力です。高木の樹を間引きの為に倒す時の危険さと、樹が倒れた時の地響きはやってみなければ分からない迫力と感動があります。
 作業の体験を中途半端にしないために、本物の道具を使うということも大切です。本物の道具は手入れが必要で、手入れの仕方でその人の作業の力量が分かってしまうものです。道具を大事に扱うことと、自然から命をもらい素材を得ていくことを実感することで、自然に対して謙虚になっていきます。これらを実感することが、日常のストレスや自意識の苦しみを遠いところに運んでくれるのではないでしょうか。

C どんぐりの森の意味
 どんぐりの樹は落葉広葉樹です。冬の期間は地面に落ち葉の散り敷いた明るい森となり、公共の場として必要な見通しの良い安全性が保たれます。落ち葉による土壌改善も期待されます。「どんぐりの森」の主役はコナラ・クヌギですが、かつては薪炭林として炭の原料に使われた樹ですから、カロリーの高い樹種の森なのです。毎年どんぐりの実がたくさん落ちてきて、子供たちが拾って集めるのを楽しみにしています。
  開園より2年ほど前の1997年11月に近隣の崖地で「どんぐり拾い」を実施しました。その拾ったどんぐりの種子を自宅で育て、翌年まだ造成中の公園に、市民一人一人が育てたコナラやクヌギの樹の苗を皆で植樹したのです。どんぐりを実生から育て、植樹した方々の感動は、これから百年・千年先に繋がるという遠大な夢を持った創造の瞬間に立ち会えた喜びに満たされたものでした。実際の植樹の参加者は2日で延べ500人ほどにもなりましたので、間伐を早くから実施しなければならないほど、森は密植状態で成長をはじめました。つまり、人々の夢が一杯詰まっている森なのです。
  公園自体、広域避難場所としての基本的な設計があります。自然といっても都市公園には独自の管理方法が必要であり、それぞれ試行し、現場のモニタリングに基づいて会員のコンセンサスを形成し、時には失敗を重ねて運営しています。重要なこととして、実は作業自体は厳密な成果や実利益を目的にしているわけではないので、雑な仕事をしたとしても誰も問題にするわけではないのかもしれません。会員の中には休日にリフレッシュのために活動する者も多く、計画ではレジャー性といった楽しみ方も創出し、末長く活動に従事でき、会員が飽きることのない企画を心がけなければなりません。「どんぐりの森」はたくさんの企画を考案させてくれる秘密の素材を豊富に内蔵しています。新鮮な体験ができる一方で、懐かしい故郷感覚を呼び起こすものであったり、精神を解放し、包容力のあるハビタットが展開する自然作りを目指すに値する、生態系サービスの宝庫なのです。

赤羽自然観察公園どんぐりクラブ
世話人 石渡春樹 記        

<赤羽自然観察公園どんぐりクラブ>

(1)団体立ち上げの時期・きっかけ
1998年11月15日、赤羽自然観察公園を造成中に市民植樹を提案し、植樹後の「どんぐりの森」の維持・管理をボランティアの手で実施するためクラブを設立した。
(2)活動目的
赤羽自然観察公園の「どんぐりの森」の間伐・土壌改良などの育林事業や公園全体の整備・管理の他、自然生物調査・勉強会や食育を通して会員相互の親睦を図る。
(3)活動状況
活動場所はほぼ赤羽自然観察公園内、特に「どんぐりの森」周辺と、活動活性化のため公園内炊事場での食育イベント実施。活動日は月に一度の日曜日の午前か午後、年間予定表あり。
(4)会員数・会員構成
原則として北区在住・在勤だが、クラブの活動に賛同される方なら可。現在24人会員の中心は60代、退職者や子育て終了の主婦が多い。活動内容はサラリーマンでも可能な範囲で設定。
(5)会の運営
どんぐりクラブの年会費1000円と赤羽自然観察公園ボランティアの全体会の年会費500円。クラブの総会とボランティア全体会総会が年1回ずつ。会則あり、北区の社会教育団体として登録。
(6)活動を通して得たもの
都市生活の中での自然環境の重要性や役目について実体験を通して学んだ。管理の作業を通して、林業一般の軽作業の方法や道具の使い方と手入れの仕方について学んだ。  
(7)近日中の参加可能な活動
12月5日(日)13:00公園管理棟前で公園内のクズ植物のつるを使ったクリスマスリース作り。
1月9日(日)13:00「どんぐりの森」の間伐。
2月6日(日)13:00焼き芋パーティー。
(8)PR
近くにありながら異なる自然環境の中で、ストレスを発散できる。森林仕事の基礎技術が身につき、野草の天ぷらうどん・そば打ちのお楽しみ、調査や勉強会を通して親睦が深まる。
(9)連絡先
http://www.tim.hi-ho.ne.jp/iwhk
「赤羽自然観察公園」(ボランティア中心のページ)

 


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2010年11月27日更新版

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